【人力検索かきつばた杯】

お題:ドラえもんのパスティーシュ小説
 
お題以上の説明はございません。ご自由に料理してくださいまし。
ただしBAは原作の世界観から逸脱しない範囲でうまくまとまっている作品を選定するつもりです。
 
※スター/ポイントは別腹

参考:
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BF%CD%CE%CF%B8%A1%BA%F7%A4%AB%A4%AD%A4%C4%A4%D0%A4%BF%C7%D5

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  • 終了:2012/11/20 23:15:03
※ 有料アンケート・ポイント付き質問機能は2023年2月28日に終了しました。
id:alpinix

締切は11/18夜くらいを想定ください。要望によっては自動締切前までひっぱるかもしれません。

 

コメント、スターは投稿いただいてから閲覧できたタイミングで随時入れさせていただきます。

ただ、最近人力に訪問するのが不定期なので少し間が空くかもしれません、ご容赦ください。

そもそも講評などが不要な方はお申し出ください。

回答11件)

id:grankoyama No.1

回答回数560ベストアンサー獲得回数170

ポイント10pt

『伸太と忍者の里』


 僕の家には一匹の猫が住んでいる。名前はまだない。猫と言っても普通の猫ではなく、実はロボットだ。
 見た目は狸に似ているけど、狸と言えば本人は怒る。本人ではなく本猫か? いやロボットだから本ロボットか?
 彼の便利なところは、未来の不思議な道具を出してくれるというところ。さしずめ、22世紀の便利デパート。
 成績も運動神経も悪く、落ちこぼれ気味で、特技と言えば、あやとりと射撃と早昼寝しかないような僕がなんとかやっていけてるのは彼のその不可思議道具のおかげ。

 今回は、その彼との生活の中でも、特に壮大な、いわば大長編の物語について、語ろうと思う。



 ある日、僕は、空き地でチャンバラごっこをしていた。突拍子もなく忍者に憧れた僕は折り紙で作った手裏剣を投げ、木陰に身を隠す。
 でも、結局はガキ大将の武田君に棒でぽかぽか殴られて、地面に這いつくばる始末。
「おもいしったか! 忍者よりも侍の方が強いんだ! 忍者なんてばかばかしい」
「そうだ、そうだ!」とはやし立てるのは取り巻きの滑川だ。いわば武田の腰ぎんちゃく。

 そのまま僕は、空き地から自宅まで泣き帰った。
「DRMN-2112~! 武田君がいじめるよ~」と叫びながら。
「どうしたんだい? そうか、チャンバラごっこでやられたのか? なに? 忍者になりたいだって?
 きみねぇ、忍者になろうと思っても大変なんだよ。幼いころから修行もしないといけないし……。えっ? 修行するから忍者のところへ連れて行けだって?
 しょうがないなぁ……」
 と、DRMN-2112が取り出したのは情報検索マシンのググレマスだった。ちなみに、まだ名前の無い彼は製造形式番号で呼ばれている。
「ええっと忍者、忍者と……あった。ふんふん…………。すごい、この情報によると現代にも忍者は生き残っているらしい」

 早速僕と、DRMN-2112は、空間超越扉をくぐって忍者の里へ向かった。
 で、さっそく取り囲まれた。忍者の集団に。
「お前たち! どこから入ってきたんだ! 目的は? さては秘伝の書を狙ってきたんだな! その狸はなんだ! 忍術か?」
「違うんです! 僕は忍者になりたくて、修行をしに来たんです」
「狸じゃないやい!」
「え~い、うるさい、縛って牢屋に入れておけ!」

「待ちなさい!」と、やってきたのは、忍者の恰好をした若い女の人だった。
「これは……若!」
 若と呼ばれた女の人が、忍者の集団に向って言う。
「まだ、子供じゃないですか。それに、私は見ました。突然扉が現れて、そこからこの子達が出てくるのを。予言の示す救いの子なのかもしれない」
「なんと!」
「秘伝の書が脅威にさらされる時、狸を伴った救いの子が現れ窮地を脱するだろう……。まさにこの状況なのでは?」
「ではまさか、風魔が!?」
「風魔はもう滅んだといわれています。しかし、新たな勢力が秘伝の書の所在を突き止めたのかも知れない……」

 結局、僕たちは解放されて、しばらくの間の滞在を許された。
 長老の家で夕食をごちそうになることになった。さっきの女の人はアヤメという名で長老の孫娘で一緒に暮らしているらしい。
 僕は聞いた。
「秘伝の書ってなんなんですか?」
「私たちの里に伝わる巻物です。時が来るまで誰にもその内容を見せてはいけないという言い伝えが残っています」
「秘伝の書の存続。それだけが我らの使命なのじゃよ」と長老が言った。

 翌日から忍術の修行が始まった。
 手裏剣を的に当てる修行。これは、命中シールという道具を使った。このシールが貼られているものに向って投げられものは、自然とそのシールに吸い寄せられて命中するのだ。
 他の修行も秘密道具を使って、うまく乗り切った。
「君たちどこで修行したの? わたしたちが長い間修行してきた忍術をこうも簡単にやってのけるなんて!」
「いやぁ、実はこれは未来の不可思議道具を使って……もがもが……」
「だめだよ。DRMN-2112。不可思議道具の事をばらしたら。ずるだってばれちゃうじゃない!」
「そうか、でもなんだか騙しているようで悪いなぁ……」



「違うよ、忍者はほんとにいるんだって! だって僕達昨日忍者の里に行ってきたんだもん」
 空き地で、僕は武田君たちと言い争いになった。忍者を馬鹿にした武田と滑川の物言いがどうしても気に入らなかったのだ。
 結局信じてもらえず、証拠を見せろと言われたので、武田と滑川としづちゃんを連れて忍者の里に行くことになった。

「まさか……ほんとに忍者がいるなんて!」としづちゃん。
「あら? 今日はお友達を連れてきたの?」
 僕たちの前に、アヤメさんがやってきた。
「この子たちが忍者なんていないって言うから証拠を見せにきたんです」
「そう。じゃあ、見せてあげるわ」
 と、アヤメさんは華麗な忍術を繰り出した。これには、武田と滑川も驚いて、すっかり忍者に魅了されてしまった。
「せっかくだから……『忍者スーツ』!!」と、DRMN-2112が、5組の衣装を取り出した。
「なにこれ? まさかこれを着れば忍術が使えるようになるとか?」
「いや、ただの雰囲気づくり。未来の子供が忍者ごっこをして遊ぶためだけの衣装だよ」
 一同、残念がりながらも、忍者の衣装に身を包んだ。

 と、その時、ヘリコプターのローター音が聞こえてきた。2台、3台? いや5台はあったろうか。
 次々と着陸していく。
「あれは何? あなたたちの忍術なの?」
「えっ? ヘリコプターを知らないんですか?」
「ええ、私たち一族はずっと昔からここに隠れ住んでたから……」
 
 着陸したヘリからは、黒づくめの自動小銃などで武装した集団が次々と降りてきた。
 また、異常を察知した忍者の里の面々も集まって来た。
 最後にヘリから降りてきた、恰幅のいい中年が余裕たっぷりに言い放つ
「まさか、こんな時代にまだ忍者などと……。しかしあの情報は本当だったようだな。秘伝の書。あれさえあれば、我々の目標を叶えることができるかもしれん」
「あなたたち! 秘伝の書を狙って!」
 そのアヤメさんの叫びに呼応するかのように、忍者と武装集団との戦いが始まった。
 しかし、最新の装備で身を包んだ武装集団と忍者ではあまりにも分が悪く、つぎつぎと忍者たちは倒されていく。
「待て! それ以上里の者を傷つけるわけにはいかん!」長老がゆっくりと相手のボスへと近づいていく。
 それで、一時休戦状態となった。
「ほう、それでは秘伝の書を渡すつもりになったのかね?」
「しかし……それは……」
「明日の午後12時! 再びここにやってくる。それまでに秘伝の書を用意しておけ! それまでこのじいさんの身柄はあずからせてもらう!」
 言い残すと、長老を捕えた武装集団とボスは引き上げていった。

「長老が人質に取られるなんて……」がっくりと肩を落とすアヤメさん。
 わずかに残った忍者たちも、一緒になって相談しているが、秘伝の書と長老の命を秤にかけて、答えが見いだせないでいる。
「DRMN-2112~! なんとかしてよ~」
「よしきた!」と力強く頷くDRMN-2112。
 思えば、今回はすっかり忘れてしまっていた。何を?
 便利な不可思議道具をほとんど修理に出すとか、収納用の多次元ポケットを失くすとか言う制約をかけておくことを。
 終盤に来てこの落ち度はでかい。
 そうなんだった。すべての道具が自由自在に使える状況である。
 まずは長老を『お取り寄せバッグ』で救いだし、『偵察衛星』で敵の本拠地を探り当てる。
 『地球破壊爆弾(範囲限定型)』で、本拠地ごと一気に葬ろうとも思ったが、それではあんまりなのでさすがにやめた。

 『通り抜けれる輪っか』や『石ころハット』(存在感が希薄になる)などを駆使して、ボスのところまでたどり着いた。
 で、いろいろあって、偶然ボスの額に張り付いた『命中シール』目がけて僕が手裏剣を投げたので、ボスをやっつけた。
 そこんところを詳しく書けって? いやもう文字数が……

「ありがとう、あなたたちのおかげで里に平和が戻ったわ。それに秘伝の書も守られた……」アヤメさんが僕たちに向ってお礼を言った。
「そもそも、秘伝の書って何が書かれてるんだろうね」
「それが公開されたとき、この国は滅ぶといわれている。幕府の秘密が書かれた書物なのじゃよ」と長老。
「幕府って?」
「江戸幕府に決まってるじゃない?」
「え、江戸~~?!」
 それから、僕たちは江戸幕府なんてとっくに滅んだなんてことを、申し訳なくって言いだせないまま忍者の里を後にした。

~fin~

id:alpinix

久々なので、以前のように締切直前まで投稿がないのかなあ、とゆったり構えていたら予想外の早さでびびってます。
普通に面白かったです。キャラをそのまま使わない繊細さと奥ゆかしさも良かったです。型式番号はうけました。
唯一、地球破壊爆弾だけストレートなのは何か思い入れがあるんでしょうか? ドラえもん史上でも物議をかもした究極の抑止力アイテムなので何かあるに違いない、とは思いますが。
 
ところでこのお題、後だしで恐縮ですが、少し前に発刊されたこれが起点です。
http://www.pen-online.jp/feature/4386/

ドラえもんの誕生日は、2112年9月3日です。つまり、今年はドラえもん生誕100年前という記念すべき年です。そんな記念すべき年に、作者である、藤子・F・不二雄がどのような人生を送り、

というわけでFじゃなくてAの方の忍者ネタだとテイストが合わないんですよね。
 
感想ですが、導入部分はおおお、と思わせる拾い方をしているので中盤から後半の展開が勿体ないかなあ、という。
 
ただ相変わらず短時間でまとめてくるところは流石です。

2012/11/14 23:28:51
id:takejin No.2

回答回数1543ベストアンサー獲得回数203スマートフォンから投稿

ポイント9pt

一本目を。

2112光年の孤独 

のび太は小さな部屋の中で
眠り起きそしてなまけ
いつでもどらえもんに道具を欲しがったりする
 
どらえもんは未来の球の上で
何をしていたのか 僕は知らない
(或いは ネリリし キルルし ハララしているか)
しかしいまでは現代に仲間を欲しがったりする
それはまったくたしかなことだ
 
万有引力とは
引っ張り合うジャイアンの力である
 
しずかはおふろでかすんでる
それ故みんなはもとめ合う
 
スネ夫はどんどん膨らんでゆく
それ故みんなは不安である
 
2112年の孤独に
僕は思わずくしゃみをした

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id:takejin

範囲のギリギリ外側、ストライクゾーンをかすめない”小手試し”です。
それでいて、ど真ん中を投げる気もさらさらないという。

2012/11/15 01:07:51
id:takejin

あ、「小手調べ」だ

2012/11/17 08:02:49
id:meefla No.3

回答回数997ベストアンサー獲得回数472

ポイント9pt

ドラえもんが多すぎる


 ある日、しずかちゃんがのび太に言った。
「私もドラえもんが欲しいわ」
 困ったのび太は、自室に帰ってドラえもんに相談した。
「こんな事言われたんだけど、どうにかならないかな?『ドラえもん製造機』とかない?」
 ドラえもんも困った顔で、
「むちゃいうなよ。僕がいっぱいいたら、どうなると……これを使ってみればわかるよ」
 ドラえもんはポケットから「もしもボックス」を取り出した。のび太はドラえもんとともにボックスに入り、受話器を取って言った。
「ドラえもんが大勢いる世界を」
 受話器を置いてしばらく待つと、電話のベルが鳴った。

 ボックスを出ると、そこは豪華な調度品に囲まれた広い部屋だった。白髪の老人がのび太に話しかけた。
「明日はノルウェーですよ。準備は良いのですか?」
「ノルウェー?それにあなたは?」
 のび太の問いに、老人は答えた。
「ご冗談を。私はのび太さまの執事ですよ。オスロに行って、ノーベル平和賞の授賞式に出るんじゃありませんか」
 ドラえもんは、老人の背後にいるロボットを見つめていた。ドラえもんより背が低く、ドラミちゃんくらいか。しかし、外見はドラえもんそっくりだった。
 ドラえもんはそのロボットに向かって尋ねた。
「えーと、君は?」
 ロボットは答えた。
「私は量産型ドラえもん。製造番号135281601です」

 のび太とドラえもんは、執事からこの世界の歴史を教わった。
 この世界のドラえもんがのび太に与えた「ドラえもん製造機」を使って、のび太のパパが脱サラして会社を設立したのだ。1機20万円で売りだされた「量産型ドラえもん」は飛ぶように売れ、またたく間に日本を、そして世界を席巻した。
『一家に一台、ドラえもん』『いつもあなたと、ドラえもん』というキャッチフレーズのもと、ノビ・インストルメンツは大企業となり、のび太のパパはビル・ゲイツを凌ぐ大金持ちになったのである。
 例によって中国製のパチもんも出たが、オリジナルとの品質の差は歴然としており、中国政府はドラえもんの輸入権を得るために尖閣諸島の領有権を主張しなくなった。
 その頃から、世界各地で紛争や戦争が消え始めた。ドラえもんさえあれば、全ての問題はとりあえず解決する。世界は「パックス・ドラエモーナ」という新たな時代を迎えたのである。
 ノーベル平和賞がノビ・インストルメンツに授与される事になったのも当然であろう。

「ふーん、この世界では、僕は世界一の大金持ちの一人息子なんだね。何て素敵な世界。……そうだ、しずかちゃんはどうしてるんだろう?」
 のび太の問いに、執事の顔が曇った。
「のび太さまのご学友だった源静香さまですか?お元気ですが、お会いにはならない方が……」
「どうして?会いたいんだけど」
「そうおっしゃるのなら」
 執事は振り返って、量産型ドラえもんに命じた。
「どこでもドアを」

「あら、のび太くん。お久しぶりね」
 ベッドに横になったまま、しずかちゃんは言った。その体は、ぶくぶくに太っていた。パジャマ姿を見られた事を気にする様子もない。
「何かお出ししましょう。好きなものをドラえもんに言ってね」
 ベッドのそばに立っている量産型ドラえもんを指さしたしずかちゃんは、いったん目を離していた『エスパー魔美』を再び読みだした。
「これは一体……」
 のび太の言葉に、執事が答えた。
「『ドラえもん依存症』でございます。最近、若い世代の間で流行しているとか。学校にも登校されていないようです。ま、技術の進歩に副作用はつきものでございますから」
 しずかちゃんの姿をしばらく見つめた後、のび太はドラえもんに言った。
「よくわかったよ、ドラえもん。元の世界に戻ろう」


(了)

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id:alpinix

相変わらず出だしの二行うまいです。
私の好みを突いてるんだと思いますが、時事ネタを絡めた憎らしいツカミネタもツボにはまりました。
この後のハードルが上がってしまったような感もなくはないですがそこは奥せず投稿お待ちしたいです。

一つ難(癖)を上げるとすれば三行目からの展開が素直すぎるかなあ、と。
最初の二行のインパクトを保つためにも一旦、時系列を遡らせるなど引きの展開があっても良かったかなあ、と。

2012/11/16 08:11:47
id:meefla

最後の段落に誤字があったので、修正して少し加筆しました。

2012/11/16 09:23:58
id:misato385 No.4

回答回数59ベストアンサー獲得回数9

ポイント9pt

「ドラえも~ん、何とかしてよ~」
今日も今日とてのび太はドラえもんに縋り付く。
「全く、君って奴は本当に駄目だねぇ」
そう言ってドラえもんはまたお説教から始める。

「お兄ちゃん、いい加減にしなさいよ。これじゃのび太さんちっとも成長できないわ」
ドラミがそう言ってメロンパンを皿の上に置いた。相変わらずクッキー生地のサクサクしたメロンパンを食べている。
「そんなこと言ってもねぇ、道具を使うことで学べることもあるわけだし…それに僕たちは友達なんだよ。仕方ないだろう」
ドラえもんは四次元ポケットから幾つか道具を出して並べている。点検でもするつもりだろうか。
「ただいまぁ、ドラえも~ん、何とかしてよ~」
そして件ののび太が帰宅する。たんこぶやら擦り傷やらでボロボロの彼はランドセルを置かずにそのままドラえもんに例の台詞を言うのだ。

……。
これじゃ駄目だ。
おじいちゃんはこのままじゃずっと変われやしない。
僕はまた野比家の家系図を辿る。
どこからトチ狂ったのかはやはり分からないが、おじいちゃんがこんなんじゃ借金も無くせやしない。
嗚呼、22世紀のこの世の中で、僕は何て気苦労の多い子供なんだろう。
21世紀に流行った自殺でもしてやろうかな、なんて思ったりするものだ。
(最近の子供はひみつ道具で仕返しできるから自殺なんてしない。)
今日も借金を返済する術を考えながら、眠るとしよう。

「こら、ノビル! いい加減に勉強しなさい!」
「やってるよ、ほら、本読んでるでしょ! 野比家の歴史の勉強だよ!」
「それはセワシお爺ちゃんの日記でしょう、学校の宿題をやりなさいって言ってるの!」
「も~、うるさいなぁ」
「そんなこと言ってると20世紀に送るからね!」



「というところまでは想像できたんだけど、それを何とかするためにもお願いだからひみつ道具出してよ~!!」
「君の想像力は凄いんだから、それをもっと別の方向に使ったらいいと思うんだけどなぁ……」
そうして結局ドラえもんは四次元ポケットに手を突っ込む。

過去を変えるのは兎角難しい、そう思わないかい?

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id:alpinix

ありがとうございます。
これはいわゆる夢落ちの類なのかな? ぼくの理解力が不足しているのか「セワシおじいちゃんの」くだりが意図することがいまいち不明でした。
 
ドラみちゃんとドラえもんが議論する下りって本作でもあまり見ないシーンだと思いますので興味深いです。純粋に二人(?)の掛け合いを広げていってら面白い作品になるかな、と感じました。

締切一日延長しましたので書き足し、新作投稿などありましたら是非。

2012/11/17 07:23:37
id:misato385

う~ん、頭の悪いのび太君ですが、想像力だけは凄いということが書きたかっただけなのです。
たぶんセワシ君の曾孫とか玄孫とかのところまで想像したんじゃないかな。
私も相変わらずの見切り発車で書いてるので解釈はもう自由で良いはずだ!
ちゃんと説明できていないところはのび太君の頭が悪いせいにして私は逃げます←

2012/11/19 12:30:54
id:gm91 No.5

回答回数1091ベストアンサー獲得回数94

ポイント9pt

「正月号から新れんさい!」


『こちらデルタ3!隊長!もうダメです!支えきれま、うわぁ!……ガッガガ……』
「おい、どうした?デルタ3!応答しろ!……くそっ」
 俺は通信機を叩き捨てると、隣の銃座で重機関銃を乱射している部下の横へ滑り込んだ。
「デルタ3もやられた!」
「隊長!こっちも時間の問題です!」
「泣き言なんか聞きたかねえ!怯むな!」
 そう吠えながらも、当の俺自身が絶望の海に沈みかけていた。

 世の中が「支配する者」と「支配される者」に分化してから久しい。
 中には俺たちみたいに抵抗を続ける連中もいるにはいるが、「支配する者」の武力の前には屁みたいな存在に過ぎない。

「支配する者」の主戦力は武装化した機械人形だ。
 個々の動きは鈍いが、どうにも堅くてしぶとい上、なんせその数の多さが俺達から希望を奪おうとしていた。 

「隊長!囲まれましたァ!!」
「うろたえんな!」
 本当に泣きそうな顔の部下を叱咤し、俺は取っておきの切り札に手をつけた。
「これでも、くらえ!」

――閃光が辺りを包むと、俺達を囲んだ人形たちは次々と崩れ落ちた。
 
 電磁パルス弾、これを食らうと奴らはひとたまりもない……が、これすら新手が押し寄せるまでの時間稼ぎに過ぎない。
「ちっくしょう、本隊からの連絡はまだか?」
「まだです!……あっ!」

 その時、クソッタレの戦場に一筋の光の柱が伸び、そして轟音と共に青い華が闇夜に咲いた。

「青色燐光弾確認!撤収信号です!」
「よし、デルタ1撤収する!遅れるな!」

 @ @ @ @ @ @ @ 

 ほうほうの体で逃げ帰った俺たちを待っていたのは、最低のニュースだった。

「なんだって! 作戦失敗?」
「じゃあ……もう……」
「ああ、『デーモン』は過去へ飛び立った」

 ――コードネーム:Daemon。敵さんが開発した最新鋭の機械人形だ。
 しぶとく抵抗を続ける俺たちに業を煮やした連中は、俺達の組織をその歴史ごと抹殺する事にしたらしい。
 まあ簡単に言えば、俺たちのリーダーたる総司令を歴史から消そうって魂胆らしいが、昔に戻って当人や親を殺せば良いってもんじゃないらしい。
「歴史の復元性」だったかな、俺も難しいことはよくわからないが、例えば総司令が生まれる前にその親を殺害したとして、代わりの人物が登場するってわけだ。
 といって、可能性のある人物を片っ端から殺すというような乱暴なことをすれば、歴史そのものの歪がどのような影響を与えるかわからない。それは連中にとっても許容できないことだろう。
 そこで連中が考えたのは、総司令が総司令たるに至った決定的瞬間のみを都合よく回避するために、そこに与えた影響がなくなるように総司令の先祖にあたるある人物に対しピンポイントで干渉するって手法だ。

 ……まあ、平たく言えば、その人物が子孫の世代に与えた影響を「なかったこと」にする為に、その人物の人格を操作してしまう、という事らしい。
 そして、その時代への干渉を目的として送り込む為に作られたのが「デーモン」だ。
 当然ながら、その阻止は俺達の最重要課題となった。……はずだった。
 
 絶望が、重々しい空気となって俺達を押し包む。

「慌てる必要はない」
「博士!」
 デキスギ博士は、俺たちを諭すかのように静かに口を開いた。

「我々もまた、『デーモン』に対抗するロボットの開発に成功した」
「何ですって!?本当ですか?」
「ああ、本当だ。我々も『デーモン』が送り込まれた時代へロボットを送り込み、奴等の計画を挫く」
「しかしどうやって?」
「『デーモン』の行動を監視し、適宜修正を加える。……それ以上は最重要機密だ。答えられない。しかし、ノビネン総司令は今なお健在だ。そのことがこの作戦の有効性を示唆している」
 
 @ @ @ @ @ @ @ 

 敵さんから分捕った時空転送装置の中に横たわる我等が救世主は、まるで黄色い雪だるまの様に見えた。全体的に丸っこいデザインは「デーモン」のそれを踏襲させたそうだが、容積効率と20世紀後半の世界において親和性が高いというのも大きな理由のようだ。 まあそこまでは俺でも理解できる話だ。

「しかし……ずいぶん少女趣味じゃないですか?」
 俺が言っているのは、随所にちりばめられた花柄やタータンチェックのことだ。これが一体何の役に立つのか想像すらできない。
「ま、設計責任者はあのカトリーヌ・ゴーダ博士だからな……止むを得んよ」
 そう言って苦笑いするデキスギ博士もまんざらでもなさそうだ。

「頼んだぞ『ドラミネータ』……転送!」

 転送の直前、黄色い救世主が一瞬微笑んだように見えたのは、俺の気のせいだったかもしれない。

(了)

※この作品は「奴の妹がこんなに可愛いはずがない」のタイトルでどこにも全く発表されなかったものを再構成したものです。

他1件のコメントを見る
id:alpinix

素直に面白かったです。
「おいおい、これホントにドラえもん要素出てくるんだよな」
という一抹の不安込みで、楽しめました。
ベースが別にあったのを再構成したにしては、伏線の拾い方がうまかいと感じました。元からあったとおもわれる、ドラえもん要素以外の設定説明をスリム化すればもっとよかったかなあ、と。

2012/11/20 08:19:17
id:gm91

そうですね。精進します。

2012/11/21 23:48:43
id:takejin No.6

回答回数1543ベストアンサー獲得回数203スマートフォンから投稿

ポイント9pt

「水野さん。起きてくださいましな。」
「おお、望月君ではないか。」
「さようでござりまする。って疲れるんだよこれ」
「ははは。”しゃべり言葉ではない言葉でしゃべってるエセ小説”のパスティーシュごっこ、は疲れるねぇ」
「変な遊びしないで下さいよ。で、今回はパスティーシュって」
「ま、好きだけどね」
「言われて書くのって、ヤなんでしょ、水野さん」
「いや、そんなことないんだけどね。これ、パスティーシュですって宣言するの恥ずかしいんだよね」
「言わないで、気づいてって?」
「そうそう」
「でも、ドラえもんです」
「そうなんだよねぇ。ドラえもんって、なんとなく見ていて細かいとこ知らない」
「人物構成は入ってるんですけど、映画見てないんで」
「俺も見てない。テレビもあんまり」
「好きな秘密道具って?」
「どこでもドア」
「無難ですねぇ。といっても、僕は、うーん、ホンヤクコンニャクかなぁ。メジャーどころしかわかんない」
「ホンヤクコンニャク使うことってある?」
「え、ありますよ。聞いたことない国の人が訪ねてきたらどうすんですか」
「そんなことないない… 望月家ってあるの?」
「ラテン語とかスワヒリ語とか。普通じゃないんスか。それって」
「(望月君の家ってどんなとこなんだろう)」
「ま、水野さん。パスティーシュですってば」
「よくある手が、文学作品の冒頭の部分の名詞を変えちゃうやつね」
「こんなのでいいですか?」

 部屋に立っているどこでもドアを抜けると南国であった。昼の蓋は明るかった。目の前にスポーツカーが止まった。こちら側の座席でしずかちゃんが手を伸ばし、のび太の前のガラス窓をスーッと下げた。

「名詞を置き換えただけじゃなくなってるけど。まあそんな感じだな」
「でも、今のドラえもんの世界から外れる。」
「文学作品だと、年齢層とか、内容が離れてることが多いからな」
「そうはいっても、元がわからないとパスティーシュの意味がないし」
「そうなると、1フレーズだけって手がある」

吾輩は猫型である。両耳はもう無い。

「ハハハ。ドラえもんだこれ。水野さん、でもこれ題名」
「冒頭の一文でもあるんだけどね。漱石でもう一つ」

親譲りののんびり屋で子供の時から損ばかりしている。小学校にいる時分、ジャイアンに脅かされ階段を落っこちて一週間ほど腰を抜かした事はある。

「のび太は、ぼっちゃんだったんですかっ」
「ジャイアンは赤シャツだし、マドンナはしずかちゃんだろ。うらなりはもちろんスネ夫。」
「肝心のドラえもんは?」
「山嵐じゃないよなぁ。あ、清かも知れな」
「いないんですよね。深い文学談義に付き合う気はないですよ、水野さん」
「だから、古典文学だとあてはめにくいの」
「ぢゃあノーベル賞関連ってのは?雪国は出しちゃったから」
「そうなるとこれね。」

いまのび太自身がドラえもんの仕事に、喚起力のこもった契機をあたえられつつ考えることは、しずかちゃんたちが全体の企画によってドラえもんの仕事の現場にも明瞭にもちこみうるところの、この現実世界を、その空き地全体において経験しよう、とする態度をとることなしには、かれの四次元ポケットの、外部からあたえられたぬるま湯のなかでの特殊性を克服することはできぬであろう、ということにほかならないが、あらためていうまでもなくそれは、いったん外部からのジャイアン的な枠組みが壊れ、いかなる特恵的な条件もなしに、のび太がジャイアンのげんこつに鼻をつきつけねばならぬ時のことを考えるまでもなく、本当にドラえもんという存在は、自立しうるものか、を自省する時、すべてのスネ夫がみずからに課すべき問いかけであるように思われるのである。

「うはは、なんだかわからないんだけど、何か言っている雰囲気に、ジャイアンとのび太とドラえもんがいるのね。」
「ノーベル賞作家のなせる技だな」
「ノーベル賞なら、候補に挙がりながらも受賞できてない人が」
「こんな人のこと?」

「どうせジャイアンの話だろう」とためしにのび太は言ってみた。
言うべきではなかったのだ。スネ夫の目が氷河のように冷たくなった。
「なぜ、知ってるの?」としずかちゃんが言った。
とにかく、そのようにしてドラえもんをめぐる冒険が始まった。

「どんな冒険」
「こんなのも」

「ねえ、ねえ、ねえ、 何か言ってよ」としずかちゃんがのび太の胸に顔を埋めたまま言った。
「どんなこと?」
「なんだっていいわよ。私が気持ち良くなるようなこと」
「すごく可愛いよ」
「しずか」と彼女は言った。「名前をつけて言って」
「すごく可愛いよ、しずかちゃん」とのび太は言いなおした。
「すごくって どれくらい?」
「山が崩れて海が干上がるくらい可愛い」
 しずかちゃんは顔を上げてのび太を見た。「のび太さんって表現がユニークねえ」
「しずかちゃんにそう言われると心が和むね」とのび太は笑って言った。
「もっと素敵なこと言って」
「君が大好きだよ、しずかちゃん。春のドラえもんくらい好きだよ」
「春のドラえもん?」としずかちゃんがまた顔を上げた。「それ何よ、春のドラえもんって?」
「春の野原をしずかちゃんが一人で歩いているとね、向うからツルツルの目のくりっとした 青い猫型ロボットがやってくるんだ。そしてしずかちゃんにこう言うんだよ。『今日は、しずかちゃん、僕と一緒に 転がりっこしませんか』って言うんだ。そしてしずかちゃんとドラえもんが抱きあってクローバーの茂った丘の 斜面をころころと転がって一日中遊ぶんだ。そういうのって素敵だろ?」
「すごく素敵」
「それくらいしずかちゃんのことが好きだ」

「それはないな。それは」
「やっぱり、後日談になっちゃう」
「それに、その人の作品は危険」
「そうだな、避けて通れない表現があるからなぁ」
「でしょう?よいこは読まないように、ってなっちゃうでしょ」
「有名な一節だけ抜き出して、置き換えただけじゃパスティーシュって言いにくいから、そこはそれ、入れたいよねぇ」
「だからだめなんですって、水野さん」
「じゃあ、ノーベル賞取り損なった方に哀悼の意を込めて」

のび太はただ笑つている。何も答へない。まるで宇宙のやうにそれとも首相公邸の坪庭(見たことないけれど)のやうに混沌としてゐて意味ありげで不可知的なその謎めいた表情を読まうとして、ちつとも読めないまま、ドラえもんはそのとき、発作的に、ああ何とかして秘密道具以外の役にたつて壊れたいものだと願つた。何か別の役目なら、未来への約束を免れて、悲劇的な情景は出現しないと推定したのである。何と形式論的な。何と安易な。そのときドラえもんの意識においては、タケコプター、どこでもドア、スモールライト、ホンヤクコンニャク、タイムマシンその他、秘密道具以外の行為による急激な友情、緩慢なともだちのかずかずが未来を薔薇いろに染めてゐた。

「合掌」

id:alpinix

いやいや、これ、かなり手間かかったでしょう。
 
それが分かるだけにとてもコメントしにくいんですが、

吾輩は猫型である。両耳はもう無い。

この一行だけ書いてあったらストレート一閃でスマッシュヒットだった気もします。
 
ここで吹きそうになりました。

ドラえもんを素材にするのって、「ほぼ誰でも知ってるフェアな題材」だろうと思っていたんですが、そうでもないんですね。偏見でした。次は時事ネタでマスオさんのパシュティーシュでもやろうかと思ってたんですが、自分の世界観だけだとやっぱり偏ってるんですね。
 

「それに、その人の作品は危険」
「そうだな、避けて通れない表現があるからなぁ」

このあたりの下りもにやにやしながら読めました。
たけじんさんと一杯やりながら談義やりたいですねえ。

2012/11/24 15:26:33
id:takejin

お題頂いて、フレーズ浮かんだら音声入力。青空文庫を参照しながら、アーでもないコーでもない、と。
バラバラな短文の山になったので、良さそうなのを抜粋してお披露目しました。
我が猫は私も気に入ってます。

2012/11/24 20:27:47
id:takejin No.7

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ポイント9pt

『綾取物語』

今は昔、綾取ののび太といふ者ありけり。野山にまじりて道草を食いつつ、よろづのことにさぼりけり。名をば、野比となむいひける。その漫画などを読みてさぼりたる机の中に、耳を無くしたる猫型ありける。怪しがりて、寄りて見るに、引き出しの中光りたり。それを見れば、二頭身ばかりなる猫型、いとうつくしうてゐたり。のび太、言ふやう、「我、朝ごと夕ごとに見る机の中におはするにて、知りぬ。友となり給ふべき猫型なめり。」とて、引きだしを開きて、家へ招き入れぬ。両親に預けて養はす。蒼きこと限りなし。いと丸ければ押入れに入れて養ふ。
 綾取ののび太、日頃の困りたる事有しが、この猫型を見付けて後に、袋の中より、欲しがるごとに故ある具を手にすること、重なりぬ。かくて、のび太、やうやうなまけになりゆく。 
この猫型、養ふほどに、すくすくと丸きになりまさる。三月ばかりになるほどに、よき ほどなる丸になりぬれば、かくれんぼなどしてあそばせ、裳着せず。どらやきを出し、いつき養ふ。
この猫型のかたち けうらなること世になく、屋のうちは暗き所なく 光り満ちたり。のび太、心地あしく、苦しきときも、この具を手にすれば、苦しきこともやみぬ。腹立たしきことも慰みけり。のび太、いじめられること久しくなりぬ。勢ひさらなるなまけ者になりにけり。この猫型いと丸きになりぬれば、名を、猫型ロボットと呼びて、付けさす。猫型、どら焼き好きのドラえもんと付けつ。このほど三日うちあげ遊ぶ。よろづの遊びをぞしける。男の子はじゃいあんやすね夫など呼び集へて、いとかしこく遊ぶ。空き地を使う男の子、あてなるもいやしきも、いかでこのドラえもんの具を、得てしがな、見てしがな と、音に聞き、めでて惑ふ。
   
《楽しき日々は過ぎぬ。》

 
八月十五日ばかりの月に出でゐて、ドラえもんいといたく泣き給ふ。人目も今はつつみ給はず泣き給ふ。これを見て、友どもも、「何事ぞ。」と問ひ騒ぐ。ドラえもん泣く泣く言ふ、「さきざきも申さむと思ひしかども、必ず心惑ひし給はむものぞと思ひて、今まで過ごし侍りつるなり。さのみやはとて、うち出で侍りぬるぞ。おのが身は今の世の人にもあらず。未来の時の人なり。それを昔の契りありけるによりなむ、この世界にはまうで来たりける。今は帰るべきになりにければ、この月の十五日に、かの未来の国より、迎へに人々まうで来むず。
さらずまかりぬべければ、おぼし嘆かむが悲しきことを、この春より思ひ嘆き侍るなり。」と言ひて、いみじく泣くを、のび太、「こは、なでふことのたまふぞ。机の中より見付け聞こえたりしかど、我が丈たち並ぶまで丸く養ひ奉りたる我が友を、何人か迎へ聞こえむ。 まさに許さむや。」と言ひて、「我こそ死なめ。」とて、泣きののしること、いと堪へがたげなり。ドラえもんの言はく、「未来の時の人にて、持ち主あり。片時の間とて、かの時よりまうで来しかども、かく、この世にはあまたの年を経ぬるになむありける。かの時の持ち主のこともおぼえず、ここには、かく久しく遊び聞こえて、ならひ奉れり。 いみじからむ心地もせず。悲しくのみある。されど、おのが心ならずまかりなむとする。」と言ひて、もろともにいみじう泣く。遊びたる友どもも、年ごろならひて、たち別れなむことを、心ばへなどあてやかにうつくしかりつることを見ならひて、 恋しからむことの堪へがたく、じゅうすなど飲まれず、同じ心に嘆かしがりけり。
 かかるほどに、宵うちすぎて、子の時ばかりに、机のあたり、昼の明さにも過ぎて、光りたり。望月 の明さを十合わせたるばかりにて、在る人の毛の穴さへ見ゆるほどなり。引き出しより、人、車に乗りて下り来て、床より一寸ばかり上がりたるほどに浮かび連ねたり。内外なる人の心ども、物におそはるるやうにて、あひ戦はむ心もなかりけり。からうじて、思ひ起こして、すもおるらいとをとりたてむとすれども、手に力もなくなりて、萎えかかりたり。中に、じゃいあんなる者、念じて空気砲射むとすれども、ほかざまへ行きければ、あひも戦はで、心地、ただ痴れに痴れてまもりあへり。
「ここにおはするドラえもんは、重き故障をしたまへば、えいでおはしますまじ。」と申せば、その返り事はなくて、床の上に飛ぶ車を寄せて、「いざ、ドラえもん、狭き所に、いかでか久しくおはせむ。」と言ふ。立て籠めたる押入れの戸、すなはちただ開きに開きぬ。しずか抱きてゐたるドラえもん、引き出しに立ちぬ。えとどむまじければ、たださし仰ぎて泣きをり。綾取、心惑ひて泣き伏せる所に、寄りてドラえもん言ふ、「ここにも、心にもあらでかくまかるに、昇らむをだに見送りたまへ。」と言へども、「なにしに、悲しきに、見送りたてまつらむ。我をいかにせよとて、捨てては昇りたまふぞ。具して率ておはせね。」と、泣きて、伏せれば、御心惑ひぬ。「文を書き置きてまからむ。恋しからむをりをり、取りいでて見たまへ。」とて、うち泣きて書く言葉は、「この時代に生まれぬるとならば、嘆かせたてまつらぬほどまではべらむ。過ぎ別れぬること、かへすがへす本意なくこそおぼえはべれ。置く具を形見と見たまへ。月のいでたらむ夜は、見おこせたまへ。見捨てたてまつりてまかる、未来よりも戻りぬべき心地する。」と書き置く。 
 天人の中に、持たせたる箱あり。小さき鍵様の物入れり。一人の未来人、御鍵をとりいでて刺さむとす。その時に、ドラえもん、「しばし待て。」と言ふ。「鍵刺しせつる人は、心異になるなりといふ。もの一言言ひ置くべきことありけり。」と言ひて、文書く。未来人、「遅し。」と、心もとながりたまふ。ドラえもん、「もの知らぬこと、なのたまひそ。」とて、いみじく静かに、のび太に御文奉りたまふ。あわてぬさまなり「かくあまたの人を賜ひてとどめさせたまへど、許さぬ迎へまうで来て、取り率てまかりぬれば、口惜しく悲しきこと。永劫仕うまつらずなりぬるも、かくわづらはしき身にてはべれば、心得ずおぼしめされつらめども、心強く承らずなりにしこと、なめげなるものにおぼしとどめられぬるなむ、心にとまりはべりぬる。」とて、今はとて鍵刺すをりぞ君をあはれと思ひいでけるとて、たけこぷたあ添えて、のび太呼び寄せて、奉らす。のび太に、未来人取りて伝ふ。のび太取りつれば、ふと鍵刺せたてまつりつれば、のび太を、いとほし、かなしとおぼしつることも失せぬ。この鍵刺する人は、物思ひなくなりにければ、車に乗りて、百人ばかり未来人具して、引き出しに収まりぬ。その後、のび太・じゃいあん・しずか・すねお、血の涙を流してまどへどかひなし。あの書き置きし文を読み聞かせけれど、「なにせむにか命も惜しからむ。たがためにか。何事も用もなし。」とて、薬も食はず、やがて起きもあがらで病みふせり。
かの奉るたけこぷたあ、駿河の国にあなる山の頂へ登りけり、のび太嶺にて火をつけて燃やしなむ。その山をふじの山とは名づけける。その煙いまだ雲の中へ立ちのぼるとぞ言ひ伝へたる。

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id:takejin

実は、こっちの方が時間かかってません。推敲の回数が少ないのです。竹取物語大好きでして、高校時代に、大半を暗唱してましたから。人物などの置き換えがほとんどでしたし。

なんだか、一晩では済みそうも有りませんねぇ。語り出したら…

2012/11/24 20:22:07
id:alpinix

竹取物語を暗唱していたとは恐れ入りました。
僕は文庫を立ち読みしてた口なのでストーリだけ押さえて満足してしまっていました。

2012/11/25 16:25:47
id:maya70828 No.8

回答回数1364ベストアンサー獲得回数139

ポイント9pt

「ドラえもんを探せ!」

「ふぁー、よく寝たー」
日曜日の昼、自分の部屋でのび太は欠伸をしながら上半身を起こす。
野比のび太。ぐうたらで勉強、運動共にできない小学生。いじめっ子のジャイアンにいじめられている。
 のび太は枕元に置いてある眼鏡をかけ、辺りを見回す。
「ドラえもん~」
開けっ放しの押し入れ、机などを見回すがドラえもんの姿はない。
「また、新しい道具を手に入れるために未来に帰ったのかな」
のび太は腕を組んで考えたが眠気に負けた。
「ドラえもんがいないならもう少し寝ようかな。これは滅多にないチャンスだ」
と言ってのび太は眼鏡をかけたまま布団に潜り込んだ。数秒でウトウトして夢の中へ行った。
 
 しばらくしてかすかに、
「・・・のび・・・太・・・く・・・、のび太くん・・・」
という声とともにドスドスと体に衝撃を感じた。
「うーん、一体、何?」
のび太が起き上がると、目の前にドラえもんの顔があった。

「起きて、のび太くん」
「あっ、ドラえもん。お帰りー」
のび太が起きてドラえもんに返事をしているのに一向に体の衝撃がおさまらない。
「ドラえもん、もう起きているから蹴らないでよー」
とのび太が自分の足元をみると、いつの間に移動したのか自分の体をドラえもんがドスドスと蹴っ飛ばしていた。
「コラッ、布団から出なよ。のび太!」
「あれっ、ドラえもん。いつの間に布団の横に・・・」
のび太がもう一度布団の真ん中みるとそこにはドラえもんがいた。
「えっ、ドラえもんが二人?」
のび太が混乱していると、押入れの方から
「こっこにもいるよー」
と声がしてのび太の前にドラえもんが現れた。
「えー、ドラえもんが三人?」
驚くのび太をおいてけぼりにして、のび太の後ろからさらに声がする。
「のび太くん、こっち、こっち」
のび太が後ろを振り返るとそこにはドラえもんの姿があった。
「えっ!、四人・・・」
吊り下げ式の円形蛍光灯の上から蜘蛛ように逆さまにぶら下がってドラえもんが顔を出す。
「のび太くん、おはよう!」
「うわっ!」
のび太が不意をつかれている間に五体のドラえもんが彼の前に現れて一斉に説教を始めた。
「のび太くん、君という奴は昼まで・・・ゴチャ、ゴチャ・・・」
のび太がドラえもんの多重説教に耐え切れず声を上げた。
「わー、うるさい!一人ずつしゃべってよー」
ピタッと五体のドラえもんが説教をやめてのび太の返事を待つ。

「一体、誰が本物のドラえもん?なんでこうなったの?」
五体のドラえもんがそれぞれ言い合う。
「ボクだよ」「いや、ボクだよ」「違う、ボクだよ」「ボク、ドラえもん」「のび太くん、ボクだよ」
のび太はそれぞれ主張するドラえもん達をなだめるように言った。
「わかったから、とりあえず服に着替えさせてよ、話は後で聞くから」

 のび太はどうしたものかと思いながら服を着替えてドラえもん達から事情を聞いた。
話によると未来ロボット工場でドラえもんの写真を完成図と間違えて組み立て・塗装してしまったらしい。

「うーん全然わからないよ」
のび太は顎に手を当ててドラえもん達を見比べる。
「のび太くん、いつもキミの面倒をみてやっているんだから何とかしてよ」
「ほら、いつもの悪知恵で・・・」
「のび太くん、キミならできる」
「ファイト!のび太くん」
ドラえもん達がそれぞれのび太に言ってくる。
「いや~、照れるな~。でも僕にはさっぱりだからみんなに解決してもらおう」
というわけでのび太は解決してもらうべくみんなをいつもの空き地に呼んだ。
そこにはお馴染みのメンバーであるしずかちゃん、スネ夫、ジャイアン、出来杉がドラえもん達を前にして考え込んでいた。

「ドラちゃん・・・」
しずかちゃんが心配そうな顔でドラえもんを見る。
「これは難問題だね・・・」
出来杉が険しそうな顔をする。
「おい、出来杉なんとかならないのかよー」
ジャイアンがイライラしながら出来杉に聞く。
「そんな事言ったって急には・・・」
出来杉の言葉に痺れを切らしたジャイアンが
「うぉー、らちがあかねー、俺様が一人ずつぶん殴ってやるから本物は名乗り出ろよ!」
ジャイアンを見てドラえもん達は怯えている。
「そんな事してもダメだよ。偽物のドラえもんが例えジャイアンを知らなくても、体格見れば全員怯えるよ」
出来杉がジャイアンの言葉に口を挟んだ。

さて、一行はどうやって本物のドラえもんを見分けたのか?
回答にはスネ夫、ジャイアン編があるからみんなも考えてみよう。

id:maya70828

ちなみにこれは「ウォーリーを○せ!」とかけています。

2012/11/20 00:02:58
id:alpinix

お題の料理の仕方としてなかなか興味深い絡め手だと思います。
 
コメント欄を先に読みましたので少々遠慮なく講評を。
個人的な感想で恐縮ですが、主題(複数登場するドラえもんから本物を探せ!)を早めに明確にした方が読み手を落ち着かせられるんじゃないかなあと感じました。
具体的にはタイトルを「ドラえもんがいっぱいいっぱい!?」とか「偽ドラえもんはだれだ?」みたいなストレートなの。
ウォーリーを探せと掛けている、という裏設定も読者に本文内で気付かせるようにするのも盛り込んだ方がいいと思います。たけじんさんの二つ目がその辺を巧く料理しているので参考になるかと思います。
 
最後の引きの二行は(みんなも考えてみよう。は特に斬新。クイーン張りの読者への挑戦でしょうか)なかなか興味深いです。複数回答アリの質問設定を巧く活用していると思いました。かきつばた主催の質問者はこういうの(複数回答)に寛容なので結構有効でししょう。
 

 

この後にはQEDで締める解決編があるんではないかと予想しつつ・・・。

2012/11/24 16:07:13
id:maya70828 No.9

回答回数1364ベストアンサー獲得回数139

ポイント9pt

回答
スネ夫編
「そうだ。ここは、スマートに」
と言うとスネ夫はのび太にある物を買ってくるように耳打ちした。
「ちぇっ、使いパシリだよ・・・」
のび太の愚痴にジャイアンが脅す。
「つべこべ言わずに行ってこい。さもないとぶん殴るぞ!」
「わっ、分ったよ・・・」
のび太は渋々買いに行った。

「スネ夫さん、のび太さんに何を頼んだの?」
しずかちゃんが尋ねる。
「へへー、ちょっと頭を使っただけさ」
スネ夫が得意げにみんなに言っていると、のび太が紙袋抱えて戻ってきた。
「これで本物のドラえもんが分るの?」
のび太から紙袋を受け取るとスネ夫は袋から中身を取り出した。
「ほら、ドラえもんの好物のどら焼きさ」
それを見た一体のドラえもんがどら焼きに飛びついてきた。
「なるほど、工場で生産してもドラえもんの好物までは真似できないわけか」
出来杉が納得する。



ジャイアン編
「おーっ、俺様にいい考えがあるぞ。のび太、今から俺様の言う通りにしろ」
と言ってジャイアンはのび太に耳打ちした。
「えー、そんなことジャイアンがやればー」
のび太が面倒くさそうに言う。
「何を俺様の言うことが聞けないのか!」
とジャイアンはのび太に拳を上げようとした。
「ドラちゃんを助けると思って剛さんの言う通りにして」
ジャイアンの強引な手段としずかちゃんのお願いに負けてのび太は、
「分ったよ、言う通りにするよ」
と言ってジャイアンに頼まれた事をするため、一旦空き地から立ち去った。

「剛さん、ドラちゃんに一体何をするの?」
しずかちゃんがジャイアンに尋ねる。
「俺様からドラえもんにとっておきのプレゼントをしてやる」
ジャイアンは企みながらニヤリとした。

 しばらくしてのび太が籐で編んだバスケットを持ち、息を切らして戻ってきた。
「ゼェ、ゼェ、持ってきたよ」
「少し遅いが許してやろう」
ジャイアンがのび太からバスケットを受け取ると。
「ムフフ、ドラえもん、俺からのプレゼントだ」
と言ってバスケットの蓋を開けた。
バスケットの中身を見た一体のドラえもんが引きつった顔になった。
とその瞬間に一匹のネズミが飛び出してきた。
「ギャー、助けてー」
と大声を上げて逃げ回った。

「どーよ、俺様の素晴らしい知恵は」
ジャイアンが腕を組んでふんぞり返った。
「よっ、ジャイアン、日本一」
スネ夫がジャイアンをおだてる。
「なるほど、工場で生産してもドラえもんの苦手な物までは真似できないわけか」
出来杉が納得する。

id:maya70828

ギリギリ間に合ったけど誤字があったら勘弁してください。

2012/11/20 00:01:24
id:alpinix

いや、結構締まった回答で面白かったです。
かきつばた的にはもうひとひねり欲しいところですが、一つめの回答を質問にするとなかなか興味深い人力検索の質問になったんではないかと感じました。
(この条件で本物のドラえもんを探してくださいという趣旨の質問)
 
落としてないので、最後にノビタパートで「それじゃ本物が見つけられないじゃないかー」という漫画的展開を追加するともっとよくなると思います。
 
締切に気張ってもらったのにコメント遅くなってすみませんでした。

2012/11/24 16:10:58
id:grankoyama No.10

回答回数560ベストアンサー獲得回数170

ポイント9pt

武藤さんVSどらえもん


「芙亜よ、指令じゃ!」
 善蔵の一声で、芙亜はすくみ上った。実の父でありながら、ある意味宿敵。宿敵でありながら、その実、絶対服従が架されているのだから、なおたちが悪い。

「お父様、今回は一体なんですの?」
 芙亜が勇気を振り絞って善蔵に問う。これで彼女の気力の70%が浪費されてしまった。あとはなし崩し的に、善蔵のいいように使われるだけである。
「とあるロボットの存在を確認するのじゃ。それが、噂であったら見過ごしてよし。
しかし、実在する者であれば、内部を調査して、わしの作ったものの系譜によるものかどうかを見極めるのじゃ」
「お父様がお作りになられた? であれば、その調らべるまでもないのでは?」
 芙亜は首を傾げた。
「そのロボットはこともあろうに未来からやってきたという……。わしですら未だ理論的にしか完成させていないタイムマシンが未来において実用化されているのなら……
そして、未来の世界でわしの意に沿わないロボットが蔓延しているのであれば……。歴史を正さねばなるまい。
わしの提唱した新ロボット三原則は知っておろう……」
「ああ、あの滅茶苦茶な……」
 芙亜はため息とともに、それだけを絞り出した。たった数言の言葉を交わしただけで疲れ果てる。父娘の対話としては、異様だ。
 こんな、異常な父娘関係があったろうか。大体にして、ロボットアニメの主人公は男性である。
 たまに女性もいる。いるが、父と対立してしまっているのは少年パイロットに多く見られる傾向だ。
 だから、年頃の少女である芙亜は前例に見習うことができず、なんだか中途半端な立ち位置で父と向かい合わなければならない。

「新ロボット三原則……すなわち……
ひとつ、ロボットはかっこよくならなければならない。
ひとつ、前項に反さない限り、ロボットは人が乗り込んで操縦しなければならない。
ひとつ、前二項に反さない限り、主役機体のパイロットはいやいや搭乗せねばならない」

 善蔵が、なにか悪いロボットアニメの影響を受けまくってしまっているのはもはや疑いようもない。
 しかし、後世の歴史学者たちは口をそろえて善蔵の穿ちまくった思想に好意的だった。
 さらに言えば、善蔵の提唱する、魔法少女三原則というのもある。これも、後世の歴史学者たちに、そこはかとなく支持されている。
 しかし、それは、もう、特定の魔法少女を即名指しで指名してしまうようなものなので割愛しよう。
 そもそも、ロボット開発者としては、時代の最先端を走る善蔵であるが、魔法少女についてはなんの研究もしていない。
 深夜アニメを見て、感銘を受けたり、受けずに、ぶつぶつと文句を言っているくらいの外野的人材である。
 今、二千十二年の現在においては。
 しかし、十年後は違う。善蔵の研究は魔法少女にも及ぶ。被験者はもちろん娘の芙亜。
 芙亜は、善蔵の研究の被検体となって、世界初の魔法少女として覚醒するのだ。
 しかし、それはまた別の話。

 ちなみに、新ロボット三原則には、補項があって、ツインアイの搭載やら、ブレードアンテナの必要性やら、エネルギー収束体による剣的な武器の装備やら、コアブロックシステム、あるいはサイコフレームの標準装備やらを説いているのだが、そこまでいくと、ガンダムの主役機であっても適用が難しくなってくるので、後世の歴史学者というかガヲタ達の間でも意見は賛否両論である。

 というわけで、芙亜は東京ぐらいのとある町に潜入した。この町に未来から来たロボットが存在しているらしい。
 さっそく見つけた。空き地の土管の上に鎮座している。小学生ぐらいの少年少女たちと一緒だ。
 お世辞にもかっこいい機体とは言えない。パイロットが搭乗すべき、搭乗口も見当たらないし、そもそもそんな大きさでもない。
 カラーリングだけが唯一、武藤善蔵の提唱する、新ロボット三原則の補項のひとつ、白を基調とすること、できればトリコロールカラーが望ましいを何とか満たしているぐらいだ。
 主役機として、これはダメだ。そもそも起き上がりこぼしを元にしたデザインであることが痛々しい。
 過去のロボットをグレードアップさせた刷新的なデザインであることが望まれるのだ。
 武器も搭載していないように思われる。
 これはダメだと芙亜も当然ながら思った。調査するまでも無い。しかし、歴史は語っているのだ。
 このロボットが真に未来からやってきたのであれば、父の……武藤善蔵の研究は実を結ばなかったことになる。
 
 芙亜は、すぐさま、自宅兼研究所である善蔵の元に帰り、事の次第を報告した。
 このことが歴史の転換点となる。
 報告にあったロボットがあまりにも自分の理想からかけ離れていたことにショックを受けた善蔵はそれまで行っていたロボット関係の研究以外のほとんどを取りやめて、ひたすらロボットの開発に着手する。
 彼がこの時放り出した研究にはタイムマシンの研究も含まれていた。
 本来であれば、実用化に目途が立つところまでこぎつけるはずが、その研究は放置され、その後数百年に渡ってもいまだ、推論の域を出ていない。

 タイムパラドックス……時間旅行による矛盾の発生。
 未来からロボットがやってきて、間接的にとはいえ善蔵との邂逅を果たしたことが、未来を改変することになってしまった。
 善蔵のロボット研究のモチベーションをいかんなくあげてしまったのだ。彼の研究は後のロボット開発の方向性をがらりと変えてしまった。
 善蔵はその生涯を賭してなお、いわゆる二足歩行的な大型機械兵器の開発に成功することはなかったが、ふたつの基礎理論を打ち立てることに成功した。
 ひとつは、二足歩行的な大型機械兵器開発とそのついでに着手していた特殊な金属の精製方法。この金属は後にガンダリウム合金として実を結ぶこととなる。
 もうひとつは、ロボットは宇宙空間で戦ってなんぼという思い込みから発したスペースコロニーの研究。
 後者の成果が後の宇宙世紀の幕開けを到来させた。
 そして、彼が途中で投げ出していた素粒子理論は、あまりにも突飛でしばらく誰にも相手にされず眠っていたが、後年、トレノフ・Y・ミノフスキー博士に受け継がれることとなった。
 
 こうして歴史上からドラえもんの存在は抹消された。
 ジオン公国の独立宣言に端を発する一年戦争発足まで、まだ百年以上の昔。
 誰も知らない、歴史には残っていない史実である。

id:alpinix

え~と、これドラえもんのパスティーシュというよりガン○ムのパスティーシュのような気がするんですがどうなんでしょう。
 
一行目の「「芙亜よ、指令じゃ!」」の時点で大体予想はついていたのですが、ほぼほぼその通りの展開で、まあこれはこれでお約束?といっていいのでしょうか。
 
参加当初から見ているメンバーとしてはマンネリとも感じられなくは、そこはかとなく指摘できる頃合いかなと言えるかもしれないので、そろそろマシン的な展開から離れた作品もみてみたいです。

2012/11/25 16:30:48
id:alpinix

すいません、途中まで入力して落ちてました。

2012/11/25 16:31:16
id:a-kuma3 No.11

回答回数4973ベストアンサー獲得回数2154

ポイント9pt

『海の向こうからはるばると』


 人気のない田舎のバス待合所。古ぼけたベンチの片隅で眠っていた若者が身じろぎをする。じっとしていると古着屋の片隅に積まれたジーンズと見間違いそうだ。どうやら、微かな争いの気配を感じたらしい。
「ちっ、ジャパンは平和な国だと聞いてたんだが、こんな朝早くから騒がしい」若者は固まった筋をほぐしながら待合室を出ると、まだ開いていない乾物屋の自販機の前で三人の姿を見つけた。

「か、返してくれ」
「スティックを新調したんじゃな。ちょっと貸してくれ」
「そうじゃ、どうせすぐに傷だらけにしてしまうじゃろう」

 どうやら一人の老人が絡まれているらしい。若者はパーカーのポケットに手を突っ込みぶらぶらと近づいてゆく。

「あ、そこの若いの。助けてくれんか」若者の姿に気が付いた老人が助けを求めてくる。
「じいさん達、朝早くからにぎやかじゃないか。ジャパニーズは勤勉だと聞いていたが……」
「何じゃ、おまえは。この辺じゃ、見かけない顔だのう。よそもんはすっこんでおれ」

 若者を押しのけようと老人が手を伸ばしかけた刹那、キラキラと何かが光ったかと思うと、老人の目の前にはナイフが現れていた。若者がジーンズのポケットから抜いたバタフライナイフだ。一瞬、きれいなものに見とれていたかのように動きを止めていた老人は、熱いものに触れたように手をびくっとひっこめる。

「おい、若造。ジジイ相手なら勝てると思ってるんじゃったら、痛い目を見るぞ」もう一人の老人はナイフが目に入らないかのようにドスの効いた声で、一歩踏み出してくる。老人にしてはがっしりと肩幅と、てらてらと光るように日に焼けた顔。確かに腕っぷしは強そうだ。
「ノー。そんなつもりはないぜ」若者は素早い動作でナイフをポケットにしまうと、もぞもぞとパーカーのポケットをまさぐり、無造作に輪ゴムで止めた札束を取り出す。
「悪かったな、脅かしちまって。ただとは言わないぜ。これで勘弁してくれよ」輪ゴムを外すと、一枚ずつ老人に差し出す。
「変わった一万円札じゃのう」
「ああ、紙幣のデザインは良く変わるからな」
「まあ、勘弁してやらんこともない。この村であまりやんちゃな真似はせん方が良いぞ」紙幣を無造作にひったくると、取り上げていた革のケースを乱暴に放り投げて、がやがやわめきながら去ってゆく。もう、こちらには興味を失ったようだ。

「若いの、すまんかったな。助かったよ。それにしても気前が良いのう。それほど裕福には見えん身なりじゃが……」
「ああ、あれは韓国のウォンだ。喫茶店でランチを食べたらお終いさ」人懐こい笑みを浮かべながら若者は軽口をたたく。こうしてみると、いきなりナイフを抜くような真似をするとは想像できない普通の若者に見える。
「そうだ、爺さん。オレ、人を尋ねてここにきたんだ。小原って家を知らないかな」
「小原なら、うちじゃぞ。なんぞ用かの」
「実は、……」
「待て待て。話は家でせんか。助けてもらった礼もしたいしの」老人はさっさと踵を返すと若者がついてくるのも確かめずにすたすたと歩きだす。軽く肩をすくめた若者は、軽い足取りで老人の後を追ってゆく。


    ----------


 若者を居間に上げると、老人はお茶の準備をしてくると言って、さっさと今から出て行ってしまう。しばらく古い日本風の家屋をもの珍しそうに見回していた若者は、それにも飽きると持っていたバッグの中をごそごそとかき回し、きちんとケースに入れられた手紙を取り出し、目の前のテーブルの中央に置いた。

「うちのがお面倒をおかけしたようで、何もございませんが、お召し上がりください」 湯気が上がる湯呑と、皿に盛られた菓子を置いて老婆が部屋を出ていった。若者はテーブルの中央に置いた手紙を指して、老人に向かって話を始める。
「まずは手紙を開けてくれないか。読みながら話をさせてくれ」
 老人はちゃぶ台の上の手紙を手に取ると無造作に破り、中の手紙を読み始めた。手紙はしっかりとした紙に書かれており、シーリング・ワックスからも、それなりの階級の人間から来たものだということが分かる。

「この手紙を書いたのは、あんたの孫だ。昔、家を飛び出した娘がいただろう。その息子だ。オレは、そのオータのところで働いている。見ての通り、オレは上品なふうには育ってない。むしろ、不良品と言われるような育ちだ。そのオレを、拾ってくれたのがオータだ」若者の話を聞いていたかどうかは怪しいが、手紙だけはしっかりと読んだようだ。
「そうか、幸子に息子が……」
「イエス。オレはオータのところで、やっかいごとの処理なんかをやってたんだが、ちょっとヤバくなっちまってさ。で、しばらく身を隠すついでにグランパに自分の代わりに孝行してきてくれないか、ということになってね。こうして、あんたを尋ねてきた、というわけさ」
「一目会ってみたいのう。話をしてみたいのう……」
「話してみるかい?」若者はバッグに手を突っ込むと、スマートフォンを取り出した。 「やっぱり電波は来てないのか。Wi-Fi スポットなんて、当然ないよな……」軽く舌打ちをすると、またバッグの中をごそごそを引っ掻き回す。
「これこれ。衛星回線用のアタッチメントも持ってきて正解だったぜ。これから、オータに電話してみるけど、話してみるかい?」老人がうなずくのを待ってから、電話をかける若者。英語でのやり取りが少しあった後に、スマートフォンを老人の方に差し出す。 「ほら、爺さん、あんたの孫だぜ」
「英語は無理じゃよ」
「大丈夫さ。オータは、ちゃんと日本語もしゃべれる」
「ほぉー、顔が映っとるじゃないか。テレビ電話なんて、夢のようじゃのう……」

 老人が電話に夢中になっている間、若者はさっきから気になっていたうまそうな匂いをさせている菓子に手を伸ばす。


    ----------


 それほどは長くない電話を老人が終えたときには、皿の上の菓子は、ひとつ残らず若者の腹の中に移動していた。

「これ、旨いな。ジャパニーズ・ワッフルかい?」
「どら焼きが気に入ったようじゃの。えーと、電話で聞いたんじゃが……」
「ウィリアム・トラヴァースだ」
「覚えられそうにないの。トラちゃんでも良かろうか?」
「好きに呼んでくれ。これからしばらくは、ここのやっかいになるんだ」
「よろしくの、トラちゃん」
「ああ、仲良くやろうぜ、ノリちゃん」


(第一話、おわり)

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id:alpinix

引きに引いて、最後に落とす、二回は使えない技だと思います。
個人的には嫌いじゃないですが、嫌いじゃないですが、嫌いじゃないですが!
大事なことなので三回書きました。
 
全三十三回と伺っていますのでお待ちします。

2012/11/25 16:47:05
id:a-kuma3

すみません、息切れしました (´・ω・`)

全三十三回と伺っていますのでお待ちします。

うへぇ。

2012/11/25 17:26:16
  • id:takejin
    ぱ、パスティーシュって… マンガの?
  • id:grankoyama
    グラ娘。 2012/11/14 12:32:22
    ひさしぶりに開催しようと思ったら開催されてた。これ終わって、次回開催予定者いなかったらやります。
    お題『○げちゃだめだ ○げちゃだめだ ○げちゃだめだ』
  • id:misato385
    ドラえもんなんて久しく読んでないっす。
    覚えてるのは古い方の「のび太の宇宙開拓史」のコミック版くらいかなぁ。
    トップバッターさんが降臨なさるまで身動きができないであります。
  • id:grankoyama
    グラ娘。 2012/11/14 15:30:44
    趣旨に沿ってるのかよくわからないけど、とりあえず書いてみた。
    これの返信コメントで優しいあるぴにっくすさんが、ヒントをくれるはず。
    あるいは、自由に泳がせるもくろみで、あえて後続を誘導しないか。
  • id:takejin
    ドラえもん生誕前100年か。アトムに間に合わせるプロジェクトは間に合わなかったけど、こっちは間に合うかな?ロードマップを引かないと。
    道具類や四次元ポケット以外は、何とかなりそうだと思うんだけどなぁ。
    数ミリ浮上と手の吸脱着が難しいと言えば難しい。
  • id:grankoyama
    グラ娘。 2012/11/14 23:47:35
    われわれ二人とも、2112に言及しながら、百年後って気付いてなかったんですかね。わたしだけ?
  • id:takejin
    ああ百違うなと思ってはいましたが。「生誕前100年」という単語が浮かばなかったんです。
  • id:takejin
    土日は投稿しにくいので、平日夜の締切希望
  • id:alpinix
    とりあえず11月19日月曜の夜まで延長します。(日付変わるくらいまで)
  • id:takejin
    どうもです。(これで出さなかったら口きいてくれないだろうなぁ)
  • id:gm91
    とりあえずプレッシャーかけときました!
  • id:misato385
    時間ないので今回は勘弁!
  • id:takejin
    一応打ち止めです。
    司馬遼太郎は、書けなかった。
  • id:a-kuma3
    う~ん、ギブアップ (´・ω・`)
    三割もできてない。

    # 無線ルータのせいにしておこう
  • id:alpinix
    主催者が時間がとれないので明日(21時ごろ)まで延長します。
     
    書き直しとかあればどうぞ。


  • id:alpinix
    すいません、やっちゃいました。
    講評とか、加点分のポイント(ポイント送信早く復活しろ!)落ちついたら後で必ずしますんで、気長にお待ち下さい。沢山の回答、感謝します!
  • id:grankoyama
    グラ娘。 2012/11/21 10:31:58
    『加点分のポイント』に☆つけたのは、ポイントが欲しんじゃないんだからね。
    ただ、傾斜配分した結果が知りたいだけなんだからね。

    多分他のみんなも一緒だと思う。ポイントはいらんけど、作品評価の指標は欲しいという。
    なので、授与予定ポイントだけでも発表してほしいっす。(送信にはこだわりません)
    反対意見あるかなぁ?
  • id:maya70828
    よく考えると加点分のポイントを公表しなくても、スターでついているから別にする必要ないし、ベストアンサーをつけるぐらいでいいんじゃないの?
    祭りなんだし、そこまでほかの作品との優劣にこだわらなくても・・・
    と何気に疑問に思いました。
    まぁ、大勢がグラ娘。さんに賛同してるから、それが正しいと思う。
  • id:a-kuma3
    今回は、パスティーシュがお題だったということで、
    ・ドラえもん自体を模倣する(対象が、マンガなだけに難しい)
    ・ドラえもん以外の文体を模倣したドラえもんの世界
    という二つのアプローチがあるので、出題者がどちらに気を魅かれたのかは、ものすごく気になるところ。

  • id:gm91
    私も、ポイントは「送ったつもり」でOKなので「配分するとxx点」があると励みになります。
  • id:takejin
    ポイントもBAもいらないので、気に食わない部分を教えて。
    ひょっとして、気に入ったところがあったらそれも。
  • id:maya70828
    >たけじんさん
    >ポイントもBAもいらないので、気に食わない部分を教えて
    その発言質問者がポイント配分する前に言えば「おおっ~!」と思った。
  • id:alpinix
    ポイント送信は当面難しそうなので、送ったつもり配分で申し訳ない。
     
    ざっくりとですが、
    グリーンスター 20~30p
    レッドスター 50~100p
    といったところです。
     
    細かい配点があった方がいい、という場合はお教えください。
     
    BAはたけじんさんの竹取物語バージョンの完成度が高いので第一候補ですね。meeflaさんと争うってところで、その後に楽さんの2作合わせ技と、GMさんのが続いてる、ってところでしょうか。
     
    番外でたけじんさんの二本目も変化球で(ぎりぎりパスティーシュの範疇として)ダークホースですね。
     
    かさねがさね、コメントが遅くなって申し訳ない。以前に質問した結婚式進行の最中に質問してしまったのが自業自得でした。いやほんと申し訳ない。

    細かい講評はさらに後日・・・になりますが。ちゃんと質問者は全作読んでますので次のかきつばたもよろしくね!

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